憲法改正

出張から帰ってきました。その報告は明日にして、今日は今週一番のケニアニュース。


現在ケニアは新憲法制定に向けた国民選挙がついに告示されて大いに盛り上がっている。植民地時代に制定された憲法を改正しようという動きは過去からずっと続いているのだが、2005年に初めて行われた国民選挙では反対多数で否決された経緯がある(こちらが詳しい)。今回は、政敵であるキバキ大統領とオディンガ首相がタッグを組んで(ケニアは現在、与野党大連立政権)、賛成票を呼びかけるキャンペーンを繰り広げている。


この動きや新憲法の中身自体もいろいろ興味深いのだが、今日はもっと表面的な話。先週に国民選挙が告示されたあと、全国的な広報キャンペーンを展開しようとした矢先、キャンペーンに使うために印刷された憲法草案が、国会で承認されたものと異なることが発覚。


もとの文章
「あらゆる個人の権利と基本的自由の享受は、他人の権利と基本的自由を害さない限りにおいて保証されなければならない」
印刷された文章
「あらゆる個人の権利と基本的自由の享受は、国家安全保障と他人の権利と基本的自由を害さない限りにおいて保証されなければならない」


...気付きましたか?そう、"national security"という二語がいつの間にか挿入されているのである。コトは、司法省から政府印刷局に原稿が送られる間に起きたと。


まじですか。第一報を聞いたときはレストランで夕食を食べながらテレビを横目で見ていたのだが、あまりに驚いてしばしあっけに取られてしまった(多分文字通り口があんぐり開いていたと思う)。さらに、ニュースキャスターが「これはミスか、恣意的な挿入か」と真面目に報じているのには、もはや驚きを通り越して可笑しい。いやいや、あんた、ミスの訳ありませんがな!


早速調査団が組織されて真相解明に乗り出しているが、(当然)軍・防衛関係の幹部が関わってやったというのが現時点の定説。


それにしてもすごい。そんなことが起ってしまうのか。もはやギャグの世界じゃないか。あまりの衝撃にケニア人の同僚に興奮して話すも、「な、言ったろ、レオ。ケニアがいかにuniqueな国か」と返され、二人で爆笑。うーん、まだ他人事だけに(もはやあんまり他人事でもないんだけど)おもしろすぎる。国民選挙が平和裏に行われて新憲法が制定されることを祈りつつ、ケニアニュースが最近私の中でアツイのでした。


P.S. ちなみに国連の同僚に言わせれば、組織の事務局長がサインする直前で原稿が勝手に差し替わってることはあるわよ、とな。ううむ、そういう意味でも他人事じゃないのか...。