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今週は、ミレニアムビレッジを東アフリカの乾燥地域に特化して拡大させようというSustainable Dryland Initiativeの立上げ会議に参加しておりました。対象国はケニアウガンダエチオピア南スーダンソマリアジブチエリトリア


ミレニアムビレッジの提唱者であるEarth Instituteのジェフェリー・サックス教授のほか、ウガンダ大統領のファーストレディー(乾燥地域の遊牧民族出身でカラモジャ(ウガンダ北部乾燥地帯)担当大臣でもある)やら各国の大臣(ソマリア環境大臣なんてのも)が参加してそうそうたる顔ぶれ。ケニアの水灌漑大臣は、憲法改正賛成派のシンボルカラーである緑一色に身を包み、ザ・政治家という挨拶を繰り広げてキャンペーン活動のため早々に退席。


ケニアは国土の80%が半乾燥・乾燥地域に属し、ソマリアはほぼ100%が乾燥地域。そこでは家畜の放牧を生業として伝統的に遊牧生活をする人々が暮らしている。定住しないので教育や医療などの公共サービスもなかなか行き届かず、旱魃や鉄砲水などで大きな被害が出、食料支援がたびたび必要となる貧しい地域、対策が必要なのは確かなのだ。


で、かのジェフェリー・サックスなんですが、昔は講演会場で勇気を出して質問するくらいがせいぜいだったのだが、今回は隣の席(たまたま)だったりして、自分も偉くなったもんだ(というのは嘘だけど学生から少なくとも立場は変わった)としみじみ。彼については、環境分野については素人なのにその影響力を使っていろいろな介入をしており、正直、あまり良い印象を持っていなかったのだが、今回会った彼は、アプローチの仕方はともかくとして、自分の信じる良いことをしようとしている真摯な気持ちは感じられた。


で、議場で私がしたコメントの一つは、「資金獲得の上では、既に乾燥地域では多くの機関や政府が様々な活動を展開しており、まずはそれをマッピングした上で、既存の取組を最大限活用した上で今回のイニシアティブがどういう形で価値を付与し、ギャップを埋めるものであるかを示すべし(うちの機関にfunding proposalを出すという話もあったので、そういうところを見ますという意図)。単一組織で総合的な支援のすべてを担う必要は必ずしもなく、全体として統合的なアプローチが出来ていれば良いのだから」といったものだったのだが、それについてあとから個人的にコメントをくれた。


で、彼曰く、「僕は○○(うちの機関)や国連がやるそのアプローチは取らないんだ。そうやって最初のappraisal(プロジェクト承認前の査定)に半年も一年もかけてなかなか行動に移らないのは時間のムダだ。僕のアプローチは、とりあえず始めてみてからlearning by doingなの。そっちのほうが非効率かもしれないけど、迅速にactionを起こせることを大事にしている。」

「言いたいことは分かるけど、それじゃ資金確保の正当性を示すのは難しいわ」

「僕の場合は、Trust meと言ってお金を集めてきて、成果を示すんだ」


それが出来るのはアンタだからだよ!っつー話なわけだが、まあ彼は、広告塔(話がうまくカリスマ性あり)かつfundraiserとしての意義が大きいんだよな、と学生時代に思ったことを改めて。


乾燥地に携帯電話を導入して、遠く離れた市場での家畜の値段をチェックし、良いタイミングに良い市場で売れるようになった話とか、遊牧民と一緒に動く移動式学校や移動式クリニックの話はおもしろかった。