研修@ウガンダ

ウガンダでの研修から無事帰国しました。


研修はなかなかに有意義であった。ケーススタディとして、実際にうちの国際機関が支援するプロジェクトを複数扱うのだが、その一つが最終処分場。これがなかなかにショッキングであった。


ウガンダでは一部の病院が医療廃棄物を自家焼却している以外は、有害廃棄物の処理施設もないため、生ゴミも燃えないゴミも、資源ゴミも有害廃棄物も一緒くたに処分場に埋め立てている。一応、浸出水の処理施設を備える「管理型」処分場なのだが、その上では多くのスカベンジャーと呼ばれる人々が、金目のもの(資源ゴミ)を集めて生活している。管理側も、ゴミの減量と処分場の延命に役立つので、彼らの存在をむしろ積極的に認めている。説明してくれた市の役人さんは、「欲しいものはなんでもタダで差し上げます!」と言っていた(どうよそれ)。


到着したてのトラックに駆け寄るスカベンジャーたち

我先にトラックに乗り込む。ちなみに、スカベンジャーの労働安全確保のため、手袋やマスクを供与する試みも市の管理者は行っている。ただ、渡した次の日には、売って現金に換えてしまうのだとか。

てんこもりに盛られた堰堤。大雨が降ればいつ崩れてもおかしくない。上に群がるのはウガンダの巨大鳥、ハゲコウ。ちなみに周辺の草原では家畜がのんきに草をはんでいた。あの牛の肉は食べたくない。

浸出水の処理施設。写っているのは好気性バクテリアによる生物分解槽。


まさにフィリピンのスモーキーマウンテンの世界である。ウガンダでは人間と鳥のスカベンジャーが共生しているところがさらに壮絶な風景(慣れない私には)だったが。

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毎年2.5haが埋まってしまうこの処分場は、あと5年で寿命がきて閉鎖予定だそう(早っ)。通常であれば、周辺の土地の価格は下落し、周辺住民の移転など補償問題なのだが、ここではなんと、処分場に引かれた水や電気のインフラ、そしてあと5年もすれば緑の自然公園になるという見込みから、処分場が出来るやいなや、すぐ隣に続々と家が建ったという。なんというか、あっぱれ。


しかし、なにより一番びびったのは、ここの処分場には人間の死体までが捨てられたりするということ。どうやって死体が混じり得るのかまったく意味不明なのだが、スカベンジャーがトラックに巻き込まれて死んだりするのではないか、とは同僚の弁。いや、あの、怖すぎますから。


これでもないよりよっぽどましというのがここの現実なのだ。Better than nothing. 環境・社会配慮でのグローバルスタンダードへの遵守を求めつつ、現実の水準と折り合わせつつ、実を取っていく技量が求められるということか。


理想ばかりを言って現実から目を背けることもなく、現実に理解を示しすぎて馴れ合うこともなく、その間のバランスを私はうまく取っていけるだろうか。