ドイツ人同僚

私がいま一番身近で一緒に働いているのはドイツ人の同僚である。私を選んでくれた最終面接官の一人でもある。現在の私のもっぱらの仕事は、彼がタスクチームリーダーをしている複数のプロジェクトを手伝うことだ。彼は現在タンザニアにいるのだが、7月からケニアに移ってくることになっている。


この彼が、とにかく気が短い。物事が思うように進まないと、すぐにイライラする。クライアントが約束したように仕事を進めていないことはもちろん、エレベータが混んでて一向に来ないことも、タクシーの運転手が予想外の道を行くことも、彼には我慢ならないらしい。こないだは、スキャナーが思うように動かないことにキレていた。私は秘かに彼のことをsuper-impatienceと呼んでいる。もはやコメディーを見ているようで、端から見ている分にはおもしろい(が時々当り散らす標的にされるのはたまったものではない)。


日本人の元同僚から、「彼はフランクにずけずけ物を言うし、短気で、いかにもドイツ人!の性格なのよね〜」と紹介を受けていたのだが、ドイツ人が短気というイメージがなかった私は、正直「え、ドイツ人ってそういうイメージなの?」と思った。


身近に親しいドイツ人の友人がいなかった私のドイツ人のイメージと言えば、「真面目で比較的シャイで、アメリカ人やラテン系の人々のあり得ないおおらかさといい加減さを一緒に嘆くことの出来る、日本人にとって割と共感しやすい人々」というくらいのものであった。


まあ、別のドイツ人の同僚はsuper-impatienceでもなんでもない(むしろ寡黙で多分我慢強い)ので、別にドイツ人を一般化するつもりは毛頭ないが、こないだ飛行機で隣り合ったドイツ在住の韓国人の方にこの話をしたら、「そうそう、彼らは計画どおりに物事がいかないと、すぐクレイジーになるよ」と言っていたので、ドイツ人の特徴的な側面の一つでもあるのかもしれない(そうなの?誰か知っている方いたら教えてください)。


ともあれ、とにかく彼はいろんなことにunhappyらしく、タンザニアでついたあだ名は「怒る人」(叫ぶ人だったか?)。アフリカ生活が長いのに、アフリカののんびりした時間の流れ(要は物事がゆっくりしか進まない(ときに逆行))に、一向に慣れる様子がない。


ちなみに、エレベータが来ないときに彼が取った行動は、待ち切れずに13階まで階段を登るも、階段から廊下へ通ずる扉の鍵が閉まってて出られず、さらにヒートアップしながら1階まで戻っているところに9階くらいで廊下に出ることができ、そこで激しく悪態をつきながらエレベータを待ったというもの。状況が容易に想像される。小さなトラブルにいちいちキレつつ、神経質に動き回る彼を見ているのはとりあえずおもしろいのだが、標的にならないことを祈りつつ...。